岡山大学公認サークル ダーウィニズム研究会

「農を考える会ダーウィニズム研究会」通称「D研(だーけん)」です。一時「自然科学研究会」に名称変更をしようとしていましたが、部員の話し合いの結果、もとに戻しました。

海の哺乳類とその進化

 こんにちは!D研です!

 アシカ・アザラシ・オットセイ・トド

 皆さんは、この動物の見分けがつきますか?年内最後の活動では、彼らについて発表しました。

 上に挙げたアシカやアザラシたちを「鰭脚類」と呼びます。「ききゃくるい」や「ひれあしるい」と読みます。脚がひれっぽいからでしょうか。

 鰭脚類は、アシカ科・アザラシ科・セイウチ科に分かれます。トドやオットセイはアシカ科に入ります。

 最も分かりやすいのはセイウチ科です。漢字で「海象」と書く通り、大きな牙と象のような体表を持ちます。寒いところに住んでいるのに毛が生えていないのは、皮下脂肪が発達しているからです。

 アザラシ科はずんぐりむっくりです。泳ぐのは得意でも、地上では芋虫のように這うことしかできません。

 それに比べてアシカ科は歩くことができます。トドもこっちの仲間です。あるゲームで、「青い玉のようなアザラシのキャラクター」が「名前にトドを冠する青いキャラクター」に「進化」するという話があります。これは少々混同しているのかもしれません。

 

 鰭脚類以外で、海にいる哺乳類では、ラッコやカワウソが思い浮かびます。彼らはイタチから進化して間もないグループです。大体かわいいです。

 他に「ジュゴン」というのもいます。これは人魚のモデルになった白い動物です。某ゲームには同じ名前で氷属性を持つキャラクターがいますが、実際のジュゴンは沖縄や東南アジアなどの暖かい海にいます。鰭脚類やラッコとも全く別の系統です。

 

 ところで、アシカ科とアザラシ科がよく似た雰囲気なのは、収斂進化の結果でしょうか。それとも、海に適応してから分かれた、近い親戚なのでしょうか。

 ある研究では味覚の喪失に着目しました。実は、アザラシやアシカには味覚がありません。地上で暮らす動物にとって味覚は重要です。味を認識することのできないサルは、腐った木の実を食べて淘汰されてしまいます。しかし、アシカやアザラシは海で魚を丸呑みにしているうちに、味覚を司る遺伝子に突然変異が起きて失われてしまったそうです。同じ理由でクジラやペンギンも味を認識できません。f:id:darwinism0616:20211229101628j:plain

 その研究では、海に進出したタイミングで味覚が失われたと考えました。突然変異した遺伝子を調べたところ、アザラシ科とアシカ科をまたぐ共通の変異は見つかりませんでした。アシカ科内とアザラシ科内では共通の変異が見つかりました。これは、アシカ科のグループとアザラシ科のグループが別々に海に進出したことを示唆します。

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 海にいる哺乳類で、忘れてはならないのはクジラです。実は、クジラとイルカの間には明確な区別はないそうです。また、彼らは偶蹄目に属します。要するにウシの仲間です。クジラの祖先は四本足で歩いていたようです。

 

 今回の発表はここまでです。D研メンバーは、クジラが「髭」を使って餌をこしとることやアザラシに味覚がないことを話して盛り上がっていました。

 今年の発表はこれで終わりです。それではみなさん、よいお年を。

イナゴ

 大学ではオンライン文化祭が始まりました。文化祭の特設サイトにはD研の紹介ページがあります。もしよければ、サイトを見てくれると嬉しいです。

 

 さて、今回のテーマはイナゴです。

 皆さんはイナゴバッタの違いは分かりますか?

 基本的には違いがありません。但し、判別方法はあります。喉にある突起で見分けることが出来ます。突起がある方がイナゴになります。

 

 イナゴは古くから農作物に被害をもたらす生物です。日本では明治時代からイナゴによる被害の記録が残っています。

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 上記の「バッタ塚」は、バッタ(イナゴ)の卵や幼虫を埋めた塚のことです。北海道では札幌以外にもバッタ塚は存在します。

 

 また海外でもイナゴは猛威を振るっています。数年前にケニアを中心にアフリカで大きな問題になったニュースを覚えている方もいるのではないでしょうか。現在はアフリカのみならず中東地域や中国近辺でも被害が確認されています。

 

 このような被害を抑えるためには、どうやって対策を取ればいいのでしょうか。それは空から殺虫剤をまいてイナゴを駆除することです。

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 ただし、大事なのは予防です!イナゴが成虫になる前の幼虫や卵の段階で駆除することが重要です。

 

 さらにイナゴに関して以下の様な驚かされる研究が行われています。

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イナゴが平和をもたらすかもしれませんね。

 

今回はこれで終わります。冒頭に説明した文化祭のリンクを載せています。閲覧は2021年11月末までとなっているので気を付けてください。

https://oufes2021.com/clubs/4k4j3v2eg9

寒気(かんき)について

こんにちは!D研です。

10月も下旬になり、急に寒くなってきましたね。

今回はその寒さがテーマです。

気象についての話題は難しいですが、調べると天気予報を見るのが楽しくなります。

では、さっそく見ていきましょう!

 

 

 最近急に寒くなったという話をしましたが、実際にはどうなのでしょうか。

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日本気象協会 過去の天気・アメダスデータより作成)

 

 上に示したのは、2021年10月15日から18日までの岡山市の気温のグラフです。

朝の最低気温と昼の最高気温をつないだだけの簡単なグラフですが、グラフの色が変わっているあたりで急に気温が下がったのが分かります。

それに前後して、前線が通過して岡山市に雨を降らせています。

さらに上空には寒気が流れ込んできています。

 

 

 

「寒気」という言葉を聞いて、冬の天気予報を思い浮かべる方もいるかもしれません。

冬の天気予報を聞いているとよく「日本列島の上空5500メートル付近には氷点下36度の強い寒気が流れ込んでおり」というような言葉を耳にします。

天気予報でもよく注目されるように、上空の寒気は地上付近の天気や気温にも大きな影響を与えています。

例えば「上空1500m付近で-6℃の寒気」は、日本海側の平地で雪になる目安とされています。

このような寒気は、全国16か所の観測点から気球を飛ばすことで観測しています。

我らが岡山のある中国地方では、松江に観測点があります。

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気象庁HPの「過去の気象データ検索(高層)」より作成)

 

上に載せたのは、先ほど見た「岡山市気温」のグラフとほぼ同じ期間である、2021年10月15日から17日の、松江の上空1500m付近の気温のデータです。

観測点の高度はほとんど変わらないのにもかかわらず、2日間で13℃も気温が下がっています。

上空に寒気が流れ込んできていることを示しています。

 

 

 

寒気が流れ込んでくると、「大気の状態が不安定」になるという話も天気予報でよく聞きます。

これはどういうことなのでしょうか。

そもそも「大気が安定した状態」とは、上に暖かくて軽い空気、下に冷たくて重い空気があって、それ以上は上下に動かなくてもよい状態です

ドレッシングの容器の中で油分が分離して上の方に留まっている様子をよく見かけますが、あれも一種の「安定」の状態です。

 

逆に「大気が不安定な状態」とは、冷たく重い空気が上にあり下には暖かく軽い空気がある場合のように、不安定で対流が盛んに起きる状態のことです。

よく振った後のドレッシングは、水分と油分がまんべんなく混ざっていますが、この状態は不安定なので、放っておくと軽い油分が上に向かって移動しようとします。このようにして、不安定な大気中では対流が起きます。

上空に寒気が流れ込んできている状況では、上に冷たく重い空気(寒気)があるわけなので大気の状態が不安定になりやすくなります。

 

 

 

ここまでかなり難しめの話をしてきましたが、調べていくうちに興味を持った、「気温を表す○○日」と「日本の観測史上最低気温」について書いて終わりにしようと思います。

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今までよく聞いたことのある言葉だと思いますが、このようにまとめて見ることは少ないかもしれません。

これらは現在気象庁が用いている公式の用語です。

もともと猛暑日という言葉はありませんでしたが、気候変動に伴って気温が35℃を超える日が増えたために新しく制定されました。

最近では気温が40℃を超える日もたまに見られるようになったので、新しい言葉が作られるかもしれませんね。

 

 

とても暑い日の話とは反対に、とても寒い日の話もします。

日本の観測史上最低気温は、1902年1月25日に北海道の旭川で観測された-41.0℃です。

ちょっと想像がつかない数字ですね。

同じころ青森県八甲田山では陸軍が雪中行軍訓練を行っており、多数の凍死者を出すという大惨事も起きています。

 

ところで、観測史上最低気温の上位20位以内を見てみると、今世紀に入ってからの記録は1つしかないということに気が付きます。

これは、最近しばしば記録を更新している最高気温とは対照的です。

やはりこれにも気候変動が影響しているのでしょうか。

 

 今回はここまでです。長くて難しい文章を最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。

蜘蛛について

 先日、三学期はじめての活動がありました。今回はその時に発表されたものを紹介します。

 

 今回は蜘蛛について紹介します。皆さんは蜘蛛について、どのようなイメージを持っていますか?

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 「不気味」「怖い」などとマイナスなイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、今回の記事を読むとイメージが変わるかもしれません。それでは、詳しく見ていきましょう。

 

 蜘蛛は基本的に肉食です。獲物の捕まえ方は二種類あります。一つ目は巣や網をはり、それにくっ着いた獲物を捕まえる造網性です。二つ目は蜘蛛が動き回り獲物を捕まえる徘徊性です。

 

 次に蜘蛛と農業の関りについて説明していきます。

 

 実は、蜘蛛は水田で害虫を捕獲する益虫だったのです。具体的にはゴキブリを捕食する生き物なんです。また、歴史は古く江戸時代から利用されていたと言われています。

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 さらに現在、蜘蛛に関する研究が進んでいます。それは蜘蛛の糸に関する研究です。蜘蛛の糸は丈夫で、微生物によって分解される生分解性をもつため環境にやさしいと言われています。そのため、建築物の材料などに使用出来るのではないかと注目されて研究されているのです。

 そんな蜘蛛の糸ですが、実は蜘蛛の体内でどうやって作られて、体から出されるのか謎に包まれていました。それから、理化学研究所の「バイオ高分子研究チーム」が人工的に蜘蛛の糸を合成することに成功しました。これから蜘蛛の糸を実用化するため、さらに研究が進んでいくことになるでしょう。

 

 この様に、蜘蛛は色々なメリットを持つ生き物であることが分かりました。皆さんは、これで蜘蛛に対するイメージが変わったのではないでしょうか?

 

 今回の内容はここまでです。

 

 ありがとうございました。

 

 

 

 

カモノハシとは

 10月になり、大学は三学期が始まりました。前回の更新からかなり時間がたっていましたね。秋からはブログ更新をしっかりしていきます。

 

 今回はカモノハシについて説明します。

 

 みなさん、カモノハシは見たことありますか? 私は直接見たことはないのですが、どういう見た目をしているかを知っている方は大勢いるのではないでしょうか。

 

 

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カモノハシのイラスト

 そうです! この様な姿を思い浮かぶのではないでしょうか。

 そんなカモノハシですが、不思議な点があるのです。

 

 それは哺乳類であるということです。

 哺乳類でありながら、卵を産み乳首がありません。(哺乳類は親の母乳を飲んで育つ) さらに上の画像にもあるようにくちばしがあります。これは鳥類の特徴です。他にもオスの後ろ足のかかとには毒があります

 

 どうしてこの様な特徴があるのかは現在研究中ということです。

 

 そんな謎が多いカモノハシですが、実は日本では出会うことが難しい動物なんです。カモノハシはオーストラリア東部に生息しています。輸出が規制されているため、日本では入手をするのはかなり困難です。というのもカモノハシは長距離移動に対応出来る生物ではありません。カモノハシの保護という観点から、この様な規制がかけられているのです。

 

 最後にカモノハシが救世主になる?というお話をします。

先ほど説明にあったようにカモノハシには毒をもつものもいます。この毒が、糖尿病の治療薬開発に繋がるかもしれないと言われています。そのため、現在カモノハシに対しての研究が行われているのです。

 

 今回はこれで終わります。カモノハシに関しての興味がわきましたか?可愛らしい見た目と不思議な特徴をもつカモノハシにこれからも注目していきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本を騒がせるウッドショック

 こんにちは。「農を考える会 ダーウィニズム研究会」、通称だーけんです。

 

 今回のテーマは「ウッドショック」です。

 

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 皆さんは「ウッドショック」という言葉をご存じでしょうか? 林業や住宅業界に携わっている方、マイホームを建てようと検討している方以外には、あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんね。

 

 簡単に言ってしまえば、ウッドショックとは「オイルショックの木材版」です。

 昭和48年10月、石油輸出国機構OPEC)が「原油価格を4倍にする」と宣言したことで生じたオイルショック。日本でも石油価格が高騰し、トイレットペーパーや洗剤など石油製品の買占めなど、多くの混乱が生じました。

 

 これと同じことが、今、木材でも起こっています。

 

 「日本国内における木材不足、それに伴う木材価格の高騰

 

 これこそが、今日本で問題となっている「ウッドショック」という現象です。

 

 なぜ木材が不足しているのでしょうか? その理由は、一言で言えば「海外から木材が入ってこないから」です。

 日本は国土の約7割が森林でおおわれている「森林大国」。ですが、日本国内に流通する木材の6割強は外材(=海外から輸入された木材・木製品)なのです。この外材が日本にあんまり入ってこなくなった結果、木材不足や木材の価格高騰といった様々な問題が生じてしまったんですね。

 

 では、なぜ木材が日本に来なくなったのか? その理由は、大きく分けて二つありました。

  1. アメリカの”住宅バブル”
  2. コンテナ不足による海上輸送の停滞

(この二つ以外にも、新型コロナウイルスによる製材所の労働力不足・害虫の影響による減産などの原因はあるのですが、今回は割愛します)

 

1. アメリカの”住宅バブル”

 コロナ禍による経済停滞を受け、米連邦準備制度理事会FRB)は昨年から大規模な金融緩和を行いました。これまで3%~5%の間を推移していた住宅固定金利が、2020年8月から2021年3月にかけて、3%以下にまで低下したのです(下図・オレンジの箇所)。

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(出典)Freddie Mac(連邦住宅貸付抵当公社)Mortgage Rates Move Slightly

http://www.freddiemac.com/pmms/ より一部加工

 もう一つ”住宅バブル”の引き金となったのが、新型コロナウイルスの蔓延による人々の意識変化でした。

  • リモートワークが普及 → 「わざわざ都市部に住む理由ないよね?」
  • 一人暮らしをやめて実家に帰省する学生が増加 → 「子供が帰ってきたから、もう少し広い家に引っ越したい」
  • 外出自粛 → 「郊外に別荘があれば遊びに行けるのになあ…」

 …このような会話があったかは分かりませんが、新型コロナウイルスの影響によって、アメリカでは特に郊外に家を建てる動きが活発化しているのです。

 住宅ローン金利の歴史的な低水準。新型コロナウイルスによる住宅の需要増加。それらの要因が合わさり、今、アメリカでは木材の需要がこの上なく高まっています。

 日本はアメリカからベイマツ・SPF*1など多くの木材を輸入しています。そのアメリカで木材需要が高まったらどうなるでしょうか? 当然、国内の消費量が高まるわけですから、輸出に回す木材は少なくなります。木材の供給量が低下するのは当然の流れと言えるでしょう。

 

2. コンテナ不足による海上輸送の停滞

 もう一つの理由が、世界的なコンテナ船の不足です。新型コロナウイルスによる経済活動の停滞で、貿易等の海上輸送量は一時期減少していました。そこに現れたのが「巣ごもり需要」。巣ごもり需要による急激な輸送量の増加に、現場が追いつかず、木材を輸送するための船を確保できない状況なのです。

 また、新型コロナウイルスは別の側面からも影響を及ぼしました。それは港における労働者・荷物運搬者の減少。労働者の人数が不足したことで、せっかく港に船が来ても、その荷降ろしに多大な時間がかかってしまうのです。そうなれば、一つの港でいくつもの船が渋滞し、コンテナが中々空かないために、必要なところにコンテナを持っていくことができない…

 こうした条件が重なり、木材が十分に運べない事態に陥っているのです。

 

 以上が現在日本を騒がせている「ウッドショック」とその原因でした。これからマイホームを建てようと考えている方にとっては、かなり厄介な情勢になってしまいましたね。ウッドショックが収まるのを待つか、長引くことを見越して今建ててしまうか…一生に一度の買い物なだけに、大いに悩む必要がありそうです。

 

 

 

 さて、「農を考える会 ダーウィニズム研究会」通称「だーけん」では、まだまだ新入部員を募集中しています。

 だーけんは「農」や自然科学全般について調べて、部内で発表をしあって楽しんでいるサークルです。新型コロナウイルスの情勢下でも、Zoomを使って今まで通りに活動できています。週1回、みんなの都合の良い日に活動しているサークルなので、兼部や兼サー・バイトとの両立も簡単にできます。もちろん農学部以外の学生も大歓迎! 文系の学生も活動しています。

 興味を持った方・質問のある方は、公式LINE(下のQRコードTwitterを追加・お気軽にメッセージをください。

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 今回はここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 以上、だーけんでした!

*1:トウヒ属(Spruce)、マツ属(Pine)、モミ属(Far)という3種の樹種の総称

ヌートリア


 みなさんこんにちは!だーけんです!

 

 今回のテーマは「ヌートリア」です。

 

 皆さんはこの動物をご存じでしょうか。ヌートリアは、ネズミ目ヌートリアヌートリアに属します。しっぽを除いた体長は40~60cmで、体重は5~9kgもあります。草食で、川や用水路などの流れが緩やかな水辺に暮らします。簡単に言うと、「水辺の巨大ネズミ」ということです。

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 ところで、ヌートリアは日本の昔話に登場しませんね。それもそのはず、この動物は、1930~50年代に南米から持ち込まれた外来種だからです。川に暮らすヌートリアの毛皮は水に強く、当時は重宝されたそうです。こうして毛皮目的で持ち込まれたヌートリアが野生化して、日本に定着しました。ちなみに、このヌートリアはかつて舶来溝鼠(はくらいどぶねずみ)とも呼ばれていました。生態や日本に定着した経緯をそのまま表していますね。現在、日本では西日本を中心に分布しています。特に多く分布しているのは中国地方、兵庫県淀川水系濃尾平野などです。

 

 このヌートリア、遠くから見る分にはそれなりにかわいいです。しかし、実際にはかなりの厄介者で、田んぼや畑の農作物に被害を与えています。農作物で特に被害が大きいのは、水稲です。田植え直後の若い稲を食い荒らしています。また、畑でもダイコンやスイカなどに被害を与えています。農作物以外では、堤防に巣穴を掘って弱体化させるという被害が確認されています。実際にイギリスでは堤防が決壊したという例もあるそうです。

 

 ヌートリアは、岡山県内にも多く生息しています。児島湾に流入する笹ケ瀬川や、その支流の足守川・砂川流域には特に多くいます。岡山県岡山市は懸賞金を出して捕獲に乗り出しています。岡山大学の近くでは、一宮高校周辺の笹ケ瀬川に行くと見ることができます。下の写真は岡大周辺で撮影したヌートリアです。かなりの確率で見ることができるので、近くを通った際には探してみるのもよいのではないでしょうか。

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 さて、「農を考える会ダーウィニズム研究会」通称「だーけん」は、新入部員を募集中です。「農」や自然科学全般について調べて、部内で発表をしあって楽しんでいるサークルです。週1回、みんなの都合の良い日に活動しているサークルなので、兼部や兼サーをしている人も多いです。農学部以外の学生も大歓迎です。文系の学生も活動しています。興味を持った方・質問のある方は、公式LINE(下のQRコードTwitterを追加・メッセージをください。

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 今回はここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。以上、だーけんでした!

かかし 

 お久しぶりです。岡山大学公認サークル「農を考える会ダーウィニズム研究会」です。

 

 半年以上ブログを更新していませんでしたが、2020年度はオンラインで一年中活動をしていました。2021年度も早速オンラインで活動を始めています。

 

 今回は2021年度の最初の発表を紹介します。

 

 テーマは「かかし」です。

 

 かかしは畑などにある、作物を荒らす鳥や害獣を追い払うための人形のことです。

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 言葉の由来は、獣肉を焼き焦がして「かがすという説があります。なぜ獣肉を焼くのかというと、鳥や害獣を追い払うために有効な手段の一つに獣の臭いをにおわせるという方法があるからです。

 

 上記の画像のような「かかし」は、動物に人間と勘違いさせて農作物に近づかせないようにするという働きがあります。

 

 近年では、「かかし」に代わってCDや風船などのライバル?がいます。CDはカラスが不規則に光るものが苦手という理由、風船は動物に大きな目玉と思い込ませることで、「かかし」と同様の働きをするため採用されています。但し、動物も学習してこれらに対して慣れてしまうため長期間の効果は期待出来ません。「かかし」にも同じことは言えますが…

 

 それもあってか、現在のかかしは観光的な面としての活躍が見られます。広島県には「リアルかかしの里山」、北海道には「かかし古里館」など「かかし」を中心とした観光スポットがあります。他にも様々な「かかし」に関する観光地がありますよ。

 

 また、日本各地で「かかし」は見られますが、海外のかかしについて調べたところ、あまり見つけることが出来ませんでした。農業というよりはハロウィンに関して見かけることはありました。もし、海外の農業用かかしを見かけた際は教えてください。

 

 今回はこの辺で終わりです。

 

 「農を考える会ダーウィニズム研究会」通称「ダー研」は新入部員募集中です。

「ダー研」に興味を持った方は公式LINEに登録してください。相談や質問、見学等大歓迎です。

 

 

<リアルかかしの里山

https://oku-yuki.net/sightseeing/kakashi

<かかし古里館>

https://oku-yuki.net/sightseeing/kakashi

 

 

雨の降り方の変化について

 こんにちは。D研です。

 

 今年2020年の梅雨は,雨がよく降るように思います。熊本県では豪雨災害が発生しました。

 

 豪雨災害が発生すると,「むかしに比べて雨が強く降ることが増えた」と言われるのをよく聞きます。そこで,実際に強い雨が降る回数は増えたのかどうか調べてみました。

 

 気象庁によると10mm以上20mm未満の雨は「やや強い雨」,20mm以上30mm未満は「強い雨」,30mm以上50mm未満は「激しい雨」,50mm以上80mm未満は「非常に激しい雨」,80mm以上は「猛烈な雨」と分類されています。そこで,今回は「強い雨」というのを「10mm以上の雨」として考えたいと思います。

 

 まず,岡山市の1976年(6月1日~9月30日)と2019年(6月1日~9月30日)で,雨の降り方を比較してみました。(図1)

 

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図1.岡山市における1976年と2019年(6月1日から9月30日)の1時間降水量の比較

気象庁「過去のデータ・ダウンロード」より加工して作成


 図1より,ほとんどの雨は10mm未満であることがわかります。10mm以上の雨が降る回数は,ほとんど変化していないように見えます。

 

 それでは,1年ごとではどうでしょうか。岡山市での1976年から2019年の6月1日から9月30日で10mm以上の雨が降った回数をグラフにしました。(図2)

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図2.岡山市における1976年から2019年(6月1日から9月30日)の

1時間雨量10mm以上の発生回数

気象庁「過去のデータ・ダウンロード」より加工して作成

 図2より,1時間雨量10mm以上の発生回数は,1年ごとに大きく変動することがわかります。そこで,1976年から1985年,2010年から2019年で降水量10mm以上の発生回数の平均をとってみると,それぞれ9.7回,12.7回でした。つまり,この数字だけ見ると約30年間の間に降水量10mm以上の発生回数は,1.3倍に増加したといえます。

 

 以上の結果より,岡山市では,この30年間で「むかしに比べて雨が強く降ることが増えた」と感覚で感じられるほど強い雨が降る回数は増えていないように思います。また,「30年間に岡山市強い雨が降る回数は増えた」と断言するには,さらに統計学的な手法を用いる必要がありそうです。

 しかしながら,岡山市に限らず全国で強い雨が降る回数が増加傾向にあるというのは考えられる話です。これから先,被害が出るほどの強い雨が降ることが増え続けるならば,何らかの対策が必要でしょう。

 

そろそろ梅雨は明けそうですね。

以上,だーけんでした。

ウイルスバスター エタノール

皆さんこんにちは!こんばんは!D研です。

現在新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、授業がほぼオンライン授業となりましたので、たまに友達と顔を合わせると何を話すか悩んでしまいます…。

 

それでは今回は、新型コロナウイルスの影響で入手しにくくなっている、アルコール消毒について述べていきます。新型コロナウイルスの情報について記載しておりますが、現時点での情報ですので閲覧される時期によっては、情報が更新されている場合もございます。ご注意ください。

 

消毒するなら、アルコールというのがすぐイメージがわきますがアルコールとは、化学を高校で履修された方はご存じだと思いますが、有機化学では炭化水素という構造の水素がOH基になったものをアルコールといいます。以下の構造のOがないとただの炭化水素、Oがつくことでアルコールとなります。

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メタノール

上記の図では、炭素が一つですが炭素が増えると働きや名前も変わってきます。よく消毒で利用されているアルコールはエタノールです。これは炭素二個でできており、一番使い勝手がいいのです。 炭素の数が増えれば増えるほど殺菌力は高まりますが、気体になりやすくなるのでエタノールが主に用いられてます。

 

しかしながら、病気がみえる vol.6 免疫・膠原病感染症(西田ら,2018)によればエタノール消毒はウイルス消毒に対してやや有効とあります。

このややの意味について今回の新型コロナウイルスでは効果を示すのでしょうか?

 

結論は 効果があります。

北里大学、花木教授らの研究によりますとエタノールは、50%以上の濃度であれば、接触時間 1 分間で十分なウイルス不活性化が可能である。」と示されました。商品によっては、濃度を満たさないものもあるのでご注意ください。

 

なぜ、エタノール消毒が効くウイルス効かないウイルスが存在するのかといいますとウイルスには二種類存在しており、「エンベロープウイルス」と「ノンエンベロープウイルス」といいます。

 

違いとしては、エンベロープという脂質性の膜にウイルス本体が包まれているか否かです。エンベロープウイルスはエンベロープエタノールにより破壊されるのでウイルスが失活するという特徴があり、新型コロナウイルスエンベロープウイルスなのでエタノールが効果があります。

 

それぞれのウイルスの図についてはぜひSARAYA様のHPがとてもわかりやすいのでご確認ください。

 

この状況下、様々なことが制限され不満も募る現在ですが何卒皆さまご自愛ください。

ここまでご覧いただきありがとうございます。